浮体式洋上風力発電は、浮体に載せた風車を海の上に沢山並べて発電する、新しい形のインフラです。今最も売れている15MWタービンを例に取ると、一基当たりの浮体の面積はサッカーのピッチ面積と同じくらいの約7,000平方メートル強、その重さは鋼製の数千トンからコンクリート製の2万トン。そこに長さ120メートル超の羽根を回転させる風車を載せると海面から羽の先端までが約270メールと東京タワーの80%近い高さ…そんな巨大な浮体がいずれは海の上に、一つの浮体式洋上風力発電所あたり70~200基(=1~3GW)も並んで発電を続ける…これが浮体式洋上風力発電です。
この実現には、広域での風況調査、国際的なロジスティクス、巨大な海洋建築工事、遠隔での安定運用、厳しい海象下でのメンテナンス、環境配慮した廃棄など、多岐にわたる課題への対応が求められます。今後10年で新たな巨大インフラ産業が形成されるとも言われ、エネルギー安全保障の観点からも日本のエネルギーミックスに大きく貢献すると期待されています。本セッションでは、技術開発・産業化・国際協調を牽引する浮体式洋上風力発電技術研究組合(FLOWRA)の猪狩様より、新産業創出に向けて動き始めているシステムデザインのビジョンと挑戦についてお話しいただきます。